・防水スプレーの中身が理解できる
・防水スプレーの正しい用途が理解できる
防水スプレーは登山用品店だけでなく、ホームセンターにも販売されていて手軽に入手できます。防水スプレーの価格は安いもので500円ほど、高いものだと数千円とするものがあります。防水スプレーを理解してよりよい使い方を解説していきます。
そもそも防水スプレーとは
防水スプレーを吹きかけることでその吹きかけた部分は水が弾かれるようになることは想像がつくと思います。実は「水を弾く」という現象は「防水」ではなく「撥水(はっすい)」です。では「防水」というのは「水を通さないこと」を示します。
水が弾かれていれば水を通さないので「防水」でも良いように思えますが、実は全くことなった現象であり、水を弾くという状態は極めて限定的な状態でしか有効ではなく、衣類・靴・バックなど身の回りの物において水が弾いている状態は時間とともに弱くなり、いずれは水を吸い込んでいきます。

現状、私たちが入手可能な防水スプレーはほぼすべて水を弾く効果を持たせる「撥水」をさせる商品となっていて、水を通さなくするようなコーティングをする効果は持たせていません。
そのため表記は防水スプレーとなっていますが実態は撥水スプレーであると言った方が正しいです。ただ、メーカー側も消費者に分かりやすいように「防水スプレー」という表現を使っているものだと思います。個人的には正しく消費者に伝えるように撥水スプレーと表記すべきだとは考えています。
防水スプレーの選び方
防水スプレーは撥水効果を出すスプレーだと前段落で解説しましたが、その撥水効果を持たすための有効成分の違いで大きく分けて2種類あります。撥水有効成分にフッ素が使われているものとシリコーンが使われているものです。もしくは両方使っているものもあります。
フッ素が使われているものは、フッ素自体が持つ撥水力は非常に高いため、吹きかけた際の水の弾き具合がとても良いことが特徴です。ただし、フッ素自体は他の物と結びつきしにくい性質があり、衣類に定着させるためには簡単ではありません。フッ素の防水スプレーを吹きかけてもフッ素が付着する状態であるため、撥水効果を長く持続させることは難しいです。
衣類に定着させることが難しいので何度も何度も防水スプレーを吹き付けるような経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
シリコーン系もシリコーンが持つ撥水力によって撥水させる点は同じです。ただし、シリコーンはフッ素より撥水させる力が弱いためフッ素系防水スプレーよりも水の弾き方はイマイチに感じられるかもしれません。しかしシリコン系防水スプレーはフッ素よりも生地に定着しやすい性質があるため、こちらを使う場合もあります。
ただしシリコーン系の最大の問題点は水は弾けますが油が弾きにくいです。フッ素と比べると化学的に水や油を弾く力が弱いためです。そのため、フッ素とシリコーン両方を混ぜて使う場合があります。
防水スプレーの使い方
フッ素系防水スプレーにせよ、シリコーン系防水スプレーにせよその効果はずっと続くものではありません。ちょっと擦れただけであったり、洗濯しただけで効果が大幅に落ちてしまうことも事実です。防水スプレーはあくまで家庭でも簡単に撥水処理できることを目的として作られているのが防水スプレーです。一日中雨に降られる登山のようなアウトドアウェアに対してその撥水性能を持たせることを考えて作られているわけではありません。
防水スプレーで逆に濡れやすくなる
また、新品のウェアを長持ちさせたいので防水スプレーをあらかじめ吹付けるという方もいらっしゃいますが、それもやめた方がいいです。強い撥水加工の上に防水スプレーを吹き付けることでせっかくの撥水加工の上に弱い撥水を覆いかぶせてしまう状況になります。
防水スプレーについては完全に撥水力が無くなった生地に対して、応急処置的に対処するものだと考えてください。
あくまで簡易撥水処理と割り切り、アウトドアウェアでなく生活防水(生活撥水)として捉えた方が良いでしょう。通勤通学に際して、「明日雨が降りそうだから靴に防水スプレーを振っておこう」という使い方が良いでしょう。使い方のポイントとしては使用する当日ではなく前日までに防水スプレーをしておくことが大切です。
アウトドアの様に1日中雨に降られるような用途に使うのは不向き。
アウトドアウェアの撥水解決方法
では、アウトドアウェアに対しては解決方法はないのでしょうか。防水スプレーでは有効成分がしっかりと生地に定着しないため撥水の持続性を持たせることができないため、その有効成分を生地に定着させることを必死に研究しました。それがアウトドア専門クリーニング&撥水加工サービスの「ドロップルーフ」です。

一日中雨の中で行動する登山のような環境を想定して開発した撥水加工である「弾水コーティング」は防水スプレーの撥水持続性と比べると桁違いの実力です。結果、何度も何度も防水スプレーを処理するよりずっと質が高いですし、結果的に安価にもなってくるので、アウトドアウェアには専門の処理を行うことをお勧めします。