富士山登山の高山病対策について【登山ペースと水分補給】

富士山登山の初心者向け基本情報

初心者の方が富士山登山に挑戦しようと思ったときに心配事のNo.1に高山病が挙げられます。高山病になってしまうと吐き気やめまい・頭痛などが起こることがあり富士山登山がとてもつらいものになってしまいます。ある程度知識をつけて対策することで高山病を軽減することができます。富士山登山の高山病対策として有効なのが登山ペースと水分補給となります。なぜこの2つが重要なのかという点とどう対策していけばよいのかという部分を解説していきます。

※なお、以前の記事でも説明していますが医者ではない為、あくまで高山病の原因は諸説の一つとして捉えてください。ここに書いてあることは壱登山者、登山ガイドとして、体感してきた、聞いてきたことの中で効果があったと思われることを記載しています。(医学的な修正点等ありましたらメールにてご連絡ください。)

富士山で高山病はみんな掛かっている

まず伝えたいことが、富士山登山では初心者のほとんどの方が高山病になります。その症状が重く出てしまうか軽くて済むかという違いがあると思ってください。高山病になると吐き気があったり、頭痛がしたり、めまいがしたり、だるさがあったりします。その症状ができるだけ軽い症状のうちに抑えておきたいので高山病対策をしていきましょう。

高山病の原因は?

そもそも高山病がなぜ起こるかというと、酸素不足になるからです。標高が高くなるほど酸素の濃度が薄くなります。その状態で普通の呼吸をしていても、私たちの体はいつもより酸素が足りないということになっているのです。そのため、普段の生活のように酸素をいっぱい取り込めれば解決しますが、今回はその逆の考え方をして、できるだけ酸素不足の状態を改善するという考えで対策をしていきます。

酸素缶での高山病対策は?

高山病の原因は?で解説したように、標高が高くなって酸素が薄くなった分を補足すれば改善しそうです。つまり酸素缶で酸素を補給すれば良さそうですね。確かに酸素缶で酸素を補給している間は効果があると思います。ただし、酸素缶は短時間しか持ちません。富士山登山は初心者の方で山小屋の時間を抜いても10時間程度かかります。一方酸素缶は数分しか持続できません。10時間に対して数分の対処しかできないため、酸素缶で高山病対策は不十分だと考えています。酸素缶が全く意味がないとは思いませんが、それ以前に登り方などで高山病対策をしていくことがとても大切になります。

ピュア酸素缶

有効な富士山登山の高山病対策は?

酸素缶では一時的な高山病対策しかできないため、有効な高山病対策として、登山するペースと水分補給の2つを提案します。前述したように、酸素を補給していく対策ではなく、酸素不足をできるだけ軽減する対策のほうが長い時間有効だからです。簡単に言えば登山ペースは自分がイメージしているよりゆっくりと登って心拍数を上げないこと、水分補給は体に酸素が行き渡りやすいように水分補給をして血液をサラサラにしておくことが富士山登山で有効な高山病と言えます。

登山ペースによる高山病対策とは?

酸素不足の状態を想像しましょう。例えば全力で100mダッシュしたとしたらすごく酸欠になりますよね。それをさらに酸素が薄い場所で同じことをやるとしたらどうでしょうか?きっとかなり危険な状況になりそうだということが簡単に想像できるかと思います。ここが重要なのです。つまり富士山登山では平地と同じ動きをするだけでも酸欠状態になってしまうのです。平地ですら急坂を登ろうものなら息が切れますよね?それをさらに酸素が薄い場所で行おうとしているということをまず理解しましょう。

心拍数を上げないペースで登山する

酸欠になれば、それをリカバーしようと私たちの体は自然と心拍数が上がります。つまり心拍数が上がっている状態はもっと酸素を取り込もうとしている状態です。心拍数が高い状態が維持されているのは酸素不足が続いている状態です。理想的には心拍数を測定しながら登山をすれば理想的なペースが自分でも分かります。とは言え簡単に心拍数を測定する測定器を皆さんが持っているわけではないので、別の方法を考えるしかありません。そこで心拍数を上げないように意識掛けするだけでも変わってきます。思っている以上にゆっくりとした動きである必要があります。また、五合目より山頂に近いほどよりゆっくりとしたペースにする必要があります。

富士山登山の最適なペースとは?

最適なペースとして提案させていただいている方法は、会話ができるペースで歩けているかという点です。息が上がって会話もできない状態はオーバーペースです。そこまでいけば分かりやすいのですがもう一つ陥りやすいパターンとして、会話ができないほど真剣に登っているパターンです。この場合無口になります。そのため、家族やグループで登っている場合は全く会話をしなくなった人は要注意です。周りの人が気に掛けることで高山病予防になりますので意識してみてください。

水分補給による高山病対策とは?

次に水分補給による高山病対策を説明します。こまめな水分補給が高山病対策にとても有効です。先ほど酸欠状態を解決しようとして心拍数を上げようとすることを説明しました。たくさん血液を流して、血液を通して酸素を体や脳に運ぼうとしています。この時、私たちの血液は実は結構水分が含まれています。血液が流れやすい状態に保つことため、水分をしっかりと補給しておくことが高山病対策に有効なのです。

水分補給はこまめにする

この時、水分補給はこめまにすることを心がけましょう。一気に水分を大量に飲んでも体の吸収が追いつきません。水分の吸収のためには少量ずつを高頻度でとるほうが良いとされています。とは言え毎回ザックを降ろしてペットボトルのふたを開けて水分補給するのはなかなか面倒ですよね。そのために登山ではハイドレーションというギアがあり、ザックに水分補給道具を取り付けて、両手を使うことなく水分補給する便利な道具もあります。

少なくとも休憩都度、少量ずつでも水は飲むようにしていきましょう。

富士山登山高山病対策まとめ

今回は富士山登山の高山病対策として、登山ペースをゆっくりとしたペースで登ること、水分補給をこまめにすることの2つを取り上げました。酸素缶での高山病対策は一時的な効果でしかないため有効な高山病対策にはなりにくいです。それよりもできる限り酸欠状態を解消するという考えで2つの対策を提案しました。こちらのほうが登山中長い間対策ができるので、有効だと考えています。これから富士山登山されるかたは是非意識して登ってみてください。

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そらのした富士登山

富士登山用品のレンタル事業を展開して10年超のそらのしたスタッフ。スタッフ内には静岡山岳ガイド協会に所属している者やアウトドア全般に精通したスタッフも在籍。富士山の富士吉田ルートが近い山梨県富士吉田市に拠点を置き、富士山には何度も登った経験を有し、夏だけでなく冬季の富士山に登った経験もある。「遊び心あふれる仲間づくり」をミッションに活動する。

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