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【富士登山】高山病にならないために初心者が押さえておく対策・対処法

投稿日:2016年02月22日 更新日:

以前の記事では高山病の原因について解説しました。原因が分かればその対策が知りたいということで今回の記事では高山病にならないための対策を解説していきます。ここでは富士登山の事前に準備する対策、登山中にとる対策、高山病になってしまってからの対策という形で進めていきます。

※前回の記事でも説明していますが医者ではない為、あくまで高山病の原因は諸説の一つとして捉えてください。ここに書いてあることは壱登山者、登山ガイドとして、体感してきた、聞いてきたことの中で効果があったと思われることを記載しています。(医学的な修正点等ありましたらメールにてご連絡ください。)

前回の記事も併せてチェック
【富士登山初心者必見!】富士登山の高山病原因を徹底解説

事前に準備するべき高山病対策

いきなりですが最重要項目です。以前のコラムで高山病は誰にでも起こりうると言いました。登山に慣れているガイドさんだって時には高山病になると。その主原因がこの事前準備です。事前準備とは何を示すかといえばズバリ体調管理です。特に睡眠不足です。

原因の所で言いましたが、高山病は酸欠から来るもので症状は寝不足に近い症状となります。元々寝不足な人が富士登山に登るとさらに寝不足が悪化するような状態に陥ります。この睡眠不足ですが、よく山に登っているガイドさんでも睡眠不足で山に登ると高山病の症状が出てきます。かなり高度順応ができているガイドさんでもです。それほど睡眠不足を挽回するのは大変なのです。

初心者の富士登山者に心がけてほしいのは、富士登山に向けて日程調整を行い、前日はしっかりと睡眠が取れるように仕事の調整、場合によっては前泊するなりの調整をする。しっかりと睡眠を取り、良い体調で富士登山を望むことが最も大切な準備です。

富士登山中にとる高山病対策

よく五合目で1時間以上は休憩して、高度順応をしてから登山をしましょうと言われます。これだけで富士登山の高山病対策ができたかと言えば不十分です。五合目での休憩はどちらかと言えば休憩しないよりは休憩した方が良いです程度のものでしかなく、登山中にとる行動の方がより高山病を左右します。

実際に五合目でずっと働いていて高所順応もかなりできている人であっても、これからお話しする登山中の対策を知らずに登って高山病になった方もいます。高所で行動するというのは平地と同じ動きでも運動量が大きく上がります。ただ歩いているだけでもジョギングをしているような運動量です。五合目で休憩してから行くというのは、いきなりハードな運動をしないという効果と考えれば分かりやすいかもしれません。

登山中にとって欲しい高山病対策で特に重要度が高いものが3つあり、「水分補給」「呼吸」「歩くスピード」です。この3つをさらに掘り下げて解説していきます。

水分の効果は酸素缶より絶大!

水分補給がなぜ高山病に効くのだ??と疑問に思われるかもしれません。高山病の原因の所で、高山病は酸素不足で起こると解説しています。この酸素不足は血液中の酸素が不足し、また脳への酸素運搬が行われにくくなるためだと思われます。

人間の体の60~70%は水が占めると言われてますね。どこにそんなに水があるのか!?と言いたくなるものですが、実は血液中にも水分がたくさん含まれているからなんですね。簡単に言えば血液は赤色のインクを水で溶かしているものだと考えてください。水分が不足してくるとサラサラしていた水が濃くなってドロドロとしてきます。ドロドロと濃くなってくると血液の流れが悪くなり、血液が運搬してくれている酸素が脳へ届きにくくなってしまいます。このような状態が水分不足によって起こり、高山病につながってくるわけです。

水分を飲むことによる血液の変化度合は結構敏感で、飲んだ水分すぐに血液中に吸収されます。一所懸命酸素缶で酸素を吸うことより、しっかりと水分補給をおこなって血液から酸素を運搬してあげた方が効果的だと考えています。注意してほしいのは、水分補給はいっぺんに行うのではなく、こまめに水分補給をしてほしいのです。一度に大量の水を飲んでも吸収しきれません。10分間隔、わずかな量を取って欲しいくらいです。ハイドレーションを使うことで歩きながらでも水分補給ができるため、理想的な水分補給を行うことができます。

呼吸はしっかりとマスターしていこう。

当然と言えば当然ですが、呼吸はすごく大切です。ただでさえ酸素が薄くなっている環境なのでしっかりと深い呼吸を行わないと酸素不足になります。この酸素が薄い環境を深い呼吸によって幾らか補うことができます。

深い話をすれば、私たちが普段行っている呼吸は、酸素濃度が平地の環境での呼吸法をマスターしています。環境が変わればそれに対応した呼吸法が必要になってきます。呼吸というのは結構敏感で、しっかりと息を吐き、空気を深く吸い込むと高山病の原因である血液中の酸素濃度(血中酸素濃度)が上がって(改善して)きます。呼吸だけでも高山病の原因が大きく改善するのです!しかも高山病の改善には血中酸素濃度が高い状態を10分間保持することが効果的だと言われます。休憩中はしっかりとした呼吸法を意識的に行い、安静にするだけで高山病の対策になるのです。

では実際にどのような呼吸法かと言えば簡単です!まずはゆっくりとストローから息を吐くように唇を丸めて息を吐きましょう。肺にたまっている空気をすべて吐き出すようにしてください。息を吐かなければ空気を吸えないので、しっかりと息を吐きだすことを心がけましょう。次に、ゆっくりと息を吸います。胸が膨らむのを意識しながら、ゆっくりと吸い込むことが大切です。空気を吸いきったらわずかに息を止め(1秒くらい)、肺に空気を押し込むような感じを意識します。休憩中はこのような呼吸法を意識的に行い、酸素不足で脳にたまった不純物を排除していきます。これだけのことですが、かなり効果が出るでしょう。

初心者のほとんどはオーバーペース

呼吸法と繋がる部分がありますが、山になれていない人が富士山を歩くとほぼ100%オーバーペースになります。余談ですが東京に行くと周りの人の歩くスピードの速さに個人的に驚きます。人間は普段歩いているペースが身体に染みついているものなので、富士山に行ってもついつい早いペースで歩き出してしまいます。標高や傾斜によってもペースを変える必要がありますが、通常の歩くスピードの1/3以下には抑える努力が必要です。登山で歩くことは持続させることが第一であるべきなのです。本当であれば心拍数を確認して登ることが最も良いペース管理になります。いずれ技術が進化してそうなる日も来ると思いますが、今現時点で心拍数を図りながら登ることは困難です。現状でペース管理ができる最良の方法は「会話ができる程度のペースになっていること」です。呼吸が切れて「はぁはぁぜぇぜぇ」言っているようなペースは完全にオーバーペースです。こんなペースで大丈夫かな?くらいゆっくりと歩いて会話ができるような状態であることが富士登山の最適ペースです。

それでも高山病になってしまったら

さて、ここまで読んでもらえた方ならかなり富士登山の対策ができているものかと思います。しかしながら、それでも高山病になってしまう方もいると思います。高山病になってしまってからの対応法を解説していきます。

高山病が重症化する前に対処する

心がけてほしいのは「高山病が重症化する前に察知し対処する」ということです。高山病は突然突発的に発生する物では無く、少しずつ異変や体調悪化が進行していきます。その異変や体調悪化を早く察知して改善に結びつけることが最も大切だと考えています(個人的な推測ではご来光目的の富士登山においてほとんどの方が軽度な高山病に掛かると考えています。軽度な高山病を高山病と認識せずに登っている人が大多数だと思います。高山病初期症状をしっかりと意識することで早く対処できます)。
高山病の初期症状はあくびやボーっとする状態であったりダルさを感じるような時、まさに寝不足の時に起こる状態です。この状態をいち早く察知して対処することが大切です。仲間やパートナーと登って欲しい理由はここにあり、自分だけでは分かりにくい高山病の初期症状をパートナーが見つけてほしいのです。そして少し変かなと思ったら立ち止まり、呼吸をしっかりとおこなう。さらに十分な水分補給をする。歩くスピードを落とす。こういった簡単な対策を重症化する前に行ってほしいです。

高山病が重症化してしまったら

高山病が重症化してしまった時の説明はすごく書きにくいです。医者ではないので踏み込んだことを書いてよいものかどうか・・・。とりあえずあくまで個人的見解です。本当につらい状況であれば痛み止めが役に立つでしょう。ロキソニンやバファリンなどの痛み止め薬です。高山病専門の薬であるダイアモックスという薬があるのですが、このような薬を富士登山者が持っていることはまずあり得ないのであえて市販薬で説明しています。これらの痛み止め薬と十分な水分を補給すること。そしてまずは安静にして、症状が落ち着いた段階で下山すること。これが高山病になってしまってからの個人的な最良の対処法と考えています(高山病の症状改善はあくまで血中酸素濃度の改善であるべきです。痛み止めは血中酸素の改善に寄与している訳では無いため暫定処置であり、症状が改善したからと言って登り続けることは止めましょう)。

もう一つ提案できることは時間変更です。身体が寝不足のような状態になっているためその状態で朝1時か2時に山頂へ向けて山小屋を出発する行為はどうしても無理が生じます。高山病のような症状が出ている場合は山頂でのご来光を諦めて、しっかり体調を整えて、小屋からご来光を眺めてゆっくりと出発することがお勧めです。

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