富士登山の初心者向け基本情報

夏山期間以外(シーズン外)の富士登山に関して【厳冬期の富士登山含む】

投稿日:2016年11月12日 更新日:

山にはシーズンがある山もあります。

富士山にも同じく夏山期間というものがあり、7月上旬~9月上旬がこれに当たります。具体的な日程は毎年変わるため下記サイト等で確認しましょう。この夏山期間というものがなぜ決められているのか?、夏山シーズンとシーズン外は何が違うのか?、夏山期間以外の富士山は実際どういう状況なのか?など順を追って解説していきます。

富士山の登山シーズンに関して

 

なぜ富士山には夏山シーズンが決められているのか?

富士山は毎年本当に多くの方が登ります。人生に一度は富士山に登ってみたいと考えるのは、日本人であればおかしいことではないでしょう。そのため登山に長けた方もいれば、初めての登山が富士山です!という方までいます(もちろんステップアップして富士山にチャレンジすることはとても良いことだと思います)。

このように様々な方がチャレンジする富士山。山のベテランでなくても挑戦できる時期こそが夏山シーズンなのです。一年で最も登りやすい時期とも言い換えることができます。山小屋が営業していることで登山中の休憩や飲み物を購入したりすることができ、ルートによっては避難所が開設されていて不調の際に相談することができる点は夏山シーズンだからこそ整備されている環境です。

富士山の夏山シーズンとシーズン外の違い

富士山の夏山シーズンとシーズン外の違いをしっかりと理解しておくことでシーズン外のリスクを認識しましょう。

山小屋が営業しているかどうか

まず、初心者が富士登山できる最大の要因は山小屋だと思います。もし富士山にこれほどの山小屋が無ければ初心者には厳しい山になるはずです。ほかの山に比べると行程は短くて済みますが標高が高い分、一度荒れてしまうと厳しい環境下に置かれます。通常の山であれば知識や経験でできる限りのリスクを回避したり、万全な装備で短時間を耐え忍んだりします。富士山においてはその役割を山小屋が引き受けてくれています。山小屋の役割は登山の初心者にとって絶大です。この山小屋が営業していない状況では厳しい登山となります。山の知識の浅い人はシーズン外に登るべきではないでしょう。

トイレがあるかないか

トイレがあるかないかもシーズンで変わってきます。富士登山シーズン中は山頂のトイレや山小屋でのトイレが有料ながらも使用ができます。しかしながらシーズン外ではトイレがすべて閉まってしまいます。開いているのは出発時の五合目くらいです(積雪期は五合目までも通行止めになりますので麓からになります)。携帯トイレの準備と、トイレに行かなくても良いくらいのスピーディーな登山ができる体力は必要になります。かなり頻繁に登山している人であれば往復5時間程度で可能かと思います。天候等のリスク回避の意味も含めてそのくらい体力をつけてでないとシーズン外は登るべきではないと思います。

夏山期間以外の富士山は実際どういう状況なのか?

富士山は7月に開山して9月中旬に閉山します。それ以外の時期は富士山はどうなっているのでしょうか?ここで解説してある状況を理解してリスクのある富士登山は避けるようにしましょう。結論としては、登山初心者は絶対に挑んではいけないということです。

富士登山シーズン前

まず、開山前に関して、年によって違いがあります。たいていの年では6月末でも山頂付近に雪が残って7月の開山を延期にするかどうか協議があります。関係者が6月末に富士登山道を歩き開山するかどうか判断するのです。2015年や2016年は雪解けが早く、特に2016年は6月になるとほぼ雪が無く、シーズン中とほぼ変わらない状況になってました(但し前述したトイレ問題は生じます)。実際に2016年の6月は土日になると多くの登山者が登ってました。とは言え例年は6月初旬は残雪があり、通常の富士登山装備ではNGです。GW明け~6月中旬までは必ず雪山の装備をする必要があります。シーズンに向けて登山道が整備されてるからこそ初心者でも歩きやすくなっている点を理解しましょう。

富士登山シーズン後(9月末~10月前半)

シーズン後の富士登山は、私が思うに危険レベルが時期によって異なります。もちろん年によって状況は異なりますがリスクをしっかりと認識してほしいと思い、状況を分けて解説しています。

9月末から10月前半にかけては、富士登山シーズン外の中で最も登りやすい時期といえます。基本的には雪が無く(ただし降雪する可能性はあるため準備は必要)、天候が安定している状況であれば静かで落ち着いた富士登山ができます。個人的にも一番好きな時期です。須走ルートの太陽館ではこの時期でも山小屋を営業していることがありますので、問い合わせてみるのも良いと思います。山小屋を利用することでよりプランニングが楽になると思います。

ただしこの時期はとても寒くて山頂では氷点下が当たり前の世界になります。道中もかなり冷え込むので相当な防寒対策が必須になります。日照時間も短く、プランニングも難しくなるため登山初心者にはNGです。

富士登山シーズン後(10月後半~11月)

この時期は富士山に雪が付くシーズンです。例え雪が無かったとしても登山中にいつ雪が降ってもおかしくない状況になります。この時期に登るのは雪山も充分に経験している者でなければなりません。雪山・冬山を経験したことのない人は登るべきではありません。雪道を歩いて五合目まで行き雪上訓練を行う等は危険性が少ないので良いとは思います。

※2016年11月中旬で滑落事故が2件発生し、3名の方が亡くなっています。登山経験や装備も備えている方のようです。積雪状況によっては下記に解説している厳冬期の富士山の状況になります。積雪期の富士山は非常に危険です。この後に解説する厳冬期の富士山の状況もよく理解したうえで懸命な判断をしてください。

富士登山シーズン後(12月~3月【厳冬期】)

この時期の富士登山は最も危険です。非常に事故の多い時期となっています。しかも経験が浅かったり装備が不十分で事故に繋がっているだけでなく、冬山経験が非常に豊富な方や、何度も厳冬期の富士登山をしている人であっても事故が起こっています。ベテランであっても登山を避けるべき時期だと考えます。

なぜ雪山で慣れている人でも事故が起こるかといえば、この時期の富士山は山頂付近はほとんどブルーアイス状態となっており、アイゼンやピッケルの刺さりが悪くなっています。それだけであれば事故が増えることはないのですが、さらに富士山の地形特有の強い風(突風)が吹くためにバランスを崩してしまい滑落する事故が相次いでます。
また、厳しい山道でありがちな、登りはなんとか登れても下れないという状況になります。山頂付近は傾斜が40度近くにもなり、ガチガチの氷でアイゼンの刺さりが悪い状態で風で不安定な中、降りてくる状況ははっきり言っていつ事故が起こっても不思議ではない状態です。いくら雪山経験が豊富な人でも危険な状況になるのが厳冬期の富士山です。

それでもどうしても厳冬期の富士山に登りたいという人はいますのでさらに踏み込んで解説しますと、唯一、安全に登る方法はパーティーを組んで、アイススクリューを複数持っていき、アイススクリューで支点を確保しながらスタカットで降りる方法です。ピッケルではガチガチの氷に支点を作ることはできないので唯一の解決策は八合目以上ではアイススクリューを使っていく方法だと思います。但し時間が掛かるためロープワークに慣れている等、相当の訓練を積んだ者でなければなりません。とは言え厳冬期の富士山に確保なしで登ろうという考えは改めるべきだと考えます。

※2016-2017厳冬期シーズンも非常に多くの方が滑落事故を起こしており、そのほとんどが亡くなっています。経験が浅い・装備が不十分というわけでなく、通常の冬山経験・冬山装備を持っていても発生しているのが厳冬期の富士山の滑落事故の現実です。私自身も一登山者として登ることを咎めることはしませんが、厳冬期の富士山は非常に特異的な風が発生するため、必ず確保をしながら登るべきだと考えます。確保の技術が無い者・確保ができない状況で登る者は八合目より上を登るべきではないと考えます。

夏山期間以外(シーズン外)は富士山登っていいものか?

これまでに説明してきたように、夏山期間というものは登山に恵まれた状況が揃っていて、その中で登山ができます。逆に言えば夏山期間以外は登山に恵まれた状況が揃っていないのです。行政側も充分な計画や装備がされていない夏山期間以外の富士登山は禁止としております。2016年現在、法律や条令上の完全な禁止とはなっておりませんが特に厳冬期である12月後半~3月は経験者であっても山頂は目指すべきではないと思います。
夏山期間外の富士登山は自己責任であることはもちろんのこと、登山計画書を提出したり、前述した雪の状況を想定して充分な装備と技術と体力を備えた上で登山する必要があります。

夏山期間以外(シーズン外)の富士登山に関してまとめ

如何でしたでしょうか?
シーズン中の富士登山の様子は他のサイトでも様子を伺うことはできますが、シーズン外の状況はなかなか知ることは難しいです。私自身も冬季の富士登山で怖いなと思った経験もありますし、冬季富士登山の救助援助にも出てたくさんの痛ましい状況を見てきました。その経験を少しでも知ってもらうことで、無謀であったり危険な富士登山を回避してもらえればと思っています。

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