プロが解説!「防水」と「撥水」の違いとは?【撥水性があれば防水性は必要ない?】

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「この服は防水性能をもっています」という言葉を聞いたことがあると思います。
また一方で「この服は撥水性があります」というのも聞いたことがあると思います。
この「防水」と「撥水」の違いとはいったい何なのか、撥水性を長年研究している撥水のプロが答えます!

「防水」と「撥水」の違いは?

私が撥水マスターの水丸(みずまる)です。
「防水」と「撥水」の違いを説明しますね。「防水」は水を通さない性能のことを言います。対して「撥水」は水を弾いている(水玉がころころとしている)現象のことを言います。

 

ちょっと待って!水がころころと弾いていればつまり水を通さないのだから「防水」ってことじゃないの?

 

確かに水を弾いているのだから水を通さないのだと思いますよね。実は水を通さない現象と水を弾いている現象は全然違う科学現象なのです。

 

全然違う科学現象!?

防水の科学現象とは?

 

先ほど「防水」とは水を通さない性能と言いました。そこで、どうやって水を通さないようにしているかが重要になります。ここでいう「防水」はあくまで傘やレインウェアが水を通さない性能の事としてお伝えしますが、その科学現象は、水分子を通さない遮蔽物を置くことで防水性能を維持しています。

 

 

水分子を通さない遮蔽物?

 

簡単に言えば、壁があって隣の部屋に行けないようなものです。とは言え、壁の材質が弱いモノで、例えば発泡スチロールでできていたら、破って隣の部屋に行くことは可能ですよね。またたとえしっかりした材質の壁であっても壁の一部が損傷していて穴が空いていたり、壁に窓がついていたりしたら隣の部屋に行くことが可能です。
傘や合羽の防水もそんな感じの水を通さない遮蔽物によって防水性を確保しています。遮蔽物は例えばコーティングのようなものであったり、膜のようなものであったりします。イメージしやすいように簡単に言うとラップが巻いてあって水を通さないというような感じです。

 

 

ラップが巻いてあるの?ラップじゃ破れちゃわない?

 

強い力がかかると破れますね。そのため、どの程度の強い力(水圧)が掛った際に破れてしまったか(漏水してしまったか)をJISで調べる試験が決められています。

なるほどねぇ、防水能力を調べる試験があるのね。たとえば超強力な撥水能力のある物で防水能力を調べたらどうなりますか?

いい質問ですねー(池上さん風)。傘や合羽のようなファブリック(生地)について言えば、防水性のない生地でどんなに強力な撥水性のある生地を持ってきても、防水能力を調べる試験の最低値も測定できない程度しか防水性はありません。確かに水を弾いているので水を通していないのですが、撥水性だけで水圧に耐えられるかというとそれは耐えられません。なぜなのかは撥水がどんな科学現象で起こっているかを理解することで分かると思います。

 

そうなんですかぁ、それでは撥水の科学現象を教えてください。。

撥水の科学現象とは?

撥水は表面張力という科学現象を利用して水が丸くなり弾いている様です。表面張力と言葉だけ伝えても難しいですよね。まずは表面張力というものを理解しましょう。
表面張力を簡単に言うと、表面積をできるだけ小さくしようとする力です。そして表面積をできるだけ小さくするためにまん丸の球体になりたがります。宇宙空間で水が丸く浮かんでいる映像を見たことがあると思います。あんな感じですね。まん丸の状態が水にとってとても居心地のよい状態なんだと理解してもらえれば大丈夫です。

水と仲が良い状態が親水

 

対して、水が何かに接触しているときには、お互いを引っ張ろうとする力が生じます。水と仲が良ければ良いほどその引っ張ろうとする力が強くなり、本当は水はまん丸になりたいけど仲が良いので、その形を崩して水とよりくっ付こうとします。この、より水とくっ付いた状態を親水と呼びます。

親水とは撥水の逆の現象のことですね。

ちょっと詳しく言うと水の表面張力の場合、水と接触する物との仲良くなり易さで、水を垂らした時の水の広がりやすさが変わります。水を紙の上に垂らした場合と机の上に垂らした場合で水の広がりやすさが違いますよね。紙の上に水を垂らした場合であれば水は紙に吸収されて表面に留まっている事はできません。机の上に水を垂らした場合、紙の上と違って水が吸収されることはないですが、少し水が広がると思います。今度は新車のボディーの上に水を垂らすと水があまり広がらず机の上よりも水玉に近くなったと思います。これらの違いが水と接触しているもの同士の仲の良さです。仲が良いことでお互いをもっと寄せ付け合おうとしている状態が紙や机の上であって、仲が悪くてお互いの寄せ付け合う気持ちが少ない状態が新車のボディーです。

 

水と仲が悪い状態が撥水

じゃあ撥水しているってことは水と仲が良くないってこと?

内そうです。撥水は水と仲が良くない接触面を持つことで、水と触れ合う面を少なくしています。ここで重要なのがあくまでお互いを寄せ付け合う力が弱いというだけであって、決して水を弾いている力という訳では無いのです。

どういうことですか?

物体と接触した時も本来は水は丸くありたいのですが、接触する物によっては、接触面が水を引っ張る力が強くて、丸い形が崩れても水がべちゃーという感じで広がります。一方、仲が悪くて引っ張る力が弱ければ弱いほど、水は本来のまん丸い形でキープしていられます。つまりは水がころころと弾かれている状態というのは接触面から与えられた外力ではなくて、水本来の力なのです。

親水:水と机の仲が良く、水が丸くなろうとする力より水を引っ張る力が強くて水本来の形が崩れてしまう

撥水:水と新車のボディーの仲が悪く、親水の時より水を引っ張る力が弱く、水本来の形に保っていられる

つまりは撥水は水本来の形にしているだけっていうこと?

そうですね。水を弾くという力が加わっている訳では無いのです。だから撥水で防水性を持たせることはできません。ファブリック(繊維)の場合、糸が密に編んでいる生地であれば少々の雨であれば水を通さないということはありますが、それでも糸同士が隙間なく編むことはできないので、ちょっと水圧が加われば水が通過してしまいます。

そっかぁ、水を通さないような力は掛かっていないんですね。だから撥水性が高いからと言っても防水性が高いという事にはならないんですね。

「防水」と「撥水」の違い まとめ

 

「防水」は遮蔽物によって物理的に水を通さないのですが、「撥水」は水を通さない力は働かないため、水を通します。水がコロコロと弾いている状況は単に水自身の力で水玉になっているのです。メッシュ生地のような隙間がたくさん空いているような生地でも水を弾くことができます。これはただメッシュ生地の上で水玉が自らの力でバランスしているだけで、ちょっと水圧が掛れば簡単に水はメッシュ生地を通過します。

メッシュ生地へ撥水加工することで、水は弾きますが、防水性はありません。勢いよく水を当てると通過します。

そっかぁ、だから「撥水」素材があったとしても水を通さない訳ではなく、水を通したくなければ「防水」素材を選ぶ必要があるんだね。よく理解できました、水丸先生ありがとうございました。

どういたしまして。また分からないことがありましたら聞いてくださいね!

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