【テントのかびやコーティングの劣化解消】寿命を延ばすテントのお手入れ・メンテナンス

テントクリーニング・クリーニング

新たにテントを購入して1年後、改めてキャンプに行こうと思ってテントを広げてみたらテントがカビだらけなんてことになったら大変悲しいですよね。

テントの寿命はしっかりとお手入れ・メンテナンスをしてあげることで少なくとも5年以上は持ちます。私たちはテントクリーニングサービスをしている言わばテントメンテナンスのプロです。私たちのところには10年以上昔のモデルを出して頂くお客様もいらっしゃいます。大切に使うことでテントは10年超も使えることができるんです。

今回の記事ではテントの寿命を延ばすためのお手入れ・メンテナンスのコツをご紹介します。

テントの手入れ・メンテナンスはテントの寿命に影響する

テントのお手入れってどうしていますか?テントの手入れなんて考えたことないと言う人やテントの手入れって言ってもどうしたら良いかは分からないという声が多いのではと思います。実はテントの手入れ・メンテナンスをやるかやらないかでテントの寿命が大きく変わってしまうのです。

私たちは業務としてテントのレンタル業を行っているし、テントのクリーニング業も行っています。言うなればテントのメンテナンスのプロです。色々なテントのメンテナンスをしてきて感じる事、理想的な状態にするにはどうすればいいかプロとして解説していきます。

新しいテントなのにボロボロの状態

私たちはアウトドア用品のレンタル会社のため、自社でテントを所有して毎回テントをメンテナンスしてお客様に貸出しを行っています。一方でお客様の所有しているテントをお預かりして、クリーニングをしてお返しするサービスも行っています。

そんな中、お客様のテントをお預かりして思うことが、まだ新しいモデルのテントなのにテントがボロボロだったりカビだらけだったりすることがあります。ヘビーローテーションして使っていたのかと聞いてみるとそうではなく一回使っただけで放っておいたら開けてみて大変なことになっていたということで私どものテントクリーニングにご依頼を頂いています。

レンタルで自社所有しているテントと比較しても程度が全然違ってお客様のテントの状態が悪いことが多いです。そこで何故なのかを考えた結果、テントのお手入れ・メンテナンスの差でテントの寿命が大きく変わってしまうのだという結論に至りました。私たちテントのレンタルとクリーニングの両方の経験があるからこそ自身を持って言える理論なのです。

テントの手入れを怠るとこんな問題が!

さて、実際にテントのお手入れをしていないとどのような悪いことが起こるかを見てみましょう。

テントの手入れを怠ることで起こる問題点① かび

大型テントユーザーは経験ある方が多いのですが、シーズン初キャンプの際、いざ開けてみたらかび臭いもしくはカビていたという失敗談をテントではよく聞きます。テントは結構かび易いです。新しいテントだから大丈夫と油断しているとNGです。私達そらのしたではカビてしまったテントのカビ除去を行っています。

でも、非常に大変な作業でかなりしっかりとカビを取るため何時間もかかるもので結構高額です。そのため、まずはそもそもカビを発生させないように気を付けるべきだと思いました。テントにカビを生やさないためにも大切になる事がお手入れ・メンテナンスになります。具体的なお手入れ・メンテナンス方法は後ほど説明していきます。

テントがかびてしまった様子。特にコットンテントはかびやすい。

テントの手入れを怠ることで起こる問題点② ポリウレタンコーティングの劣化(加水分解)

長年使っているとテントの生地がべとついてきたり、粉がふいてきたり、ボロボロと剥がれてきたりすることがあります。これはポリウレタンコーティングの劣化(加水分解)です。防水性を保つために樹脂のコーティングを施して水が通らないようにしています。傘も傘を開いた内側に同じようなポリウレタン樹脂処理をして防水性を確保しています。

なぜポリウレタンコーティングの劣化が起こるかと言うと、樹脂のコーティングがプラスチックのような強固な樹脂になっていない点に原因があります。それも仕方ない事なのですが、もしプラスチックのように硬かったら曲げたりできませんよね。生地の自由な折り曲げが妨げられない程度の硬さにするしかないため、プラスチックのような強固な結晶になっているわけではなく、プラスチックより圧倒的に短い期間でボロボロに劣化してしまいます。

このポリウレタンコーティングの劣化(加水分解)は残念ながら現在の技術では、製品に成型後での加工は非常に困難です。ポリウレタンコーティングは生地の段階でならばきれいに加工できるのですが、製品に仕上がってからはきれいに加工することは大変難しいため、現段階でポリウレタンコーティングの再加工を受けてくれる業者を私は知りません。

ポリウレタンコーティングの劣化によりベタついたり、白い粉状になったりする

よく防水処理が落ちてきたから回復させてほしいという依頼を頂くことがあります。防水技術と撥水技術の違いが理解できていない事も一つの原因だと思うので詳細は下記リンクを参照にしてください。防水と撥水の違いについて詳しく解説しています。

プロが解説!「防水」と「撥水」の違いとは?【撥水性があれば防水性は必要ない?】
「この服は防水性能をもっています」という言葉を聞いたことがあると思います。 また一方で「この服は撥水性があります」というのも聞いたことがあると思います。 この「防水」と「撥水」の違いとはいったい何なのか、撥水性は防水性の代わりにならない...

テントの手入れを怠ることで起こる問題点③ シームテープの劣化(浮き・剥がれ)

テントは一枚の生地で成り立っているわけではなく、複数の生地を縫い合わせて作られていて、その縫い合わせ部の漏水を防ぐために、シームテープというもので物理的な水の通過を防いでいます。

シームテープ自体もボロボロになって劣化はしますが、それ以上にシームテープと生地への接着が接着剤によって行われており、それは加水分解によって劣化してしまうため、シームテープ自体に問題が出るより早く、接着面の劣化によりシームテープが浮いたり剥がれたりする問題が起こります。シームテープが浮いたり剥がれたりすれば縫い目からの漏水が起こるのでテントの防水性能が落ちてしまいます。

シームテープの接着面が劣化して浮いてしまっている

テントの手入れをすることで得られるメリット

テントをしっかりと手入れすることで、上記に書いたかび、ポリウレタンコーティングの劣化(加水分解)、シームテープの劣化(浮き・剥がれ)の問題を大きく軽減させることができます。結果として、メンテナンスをする頻度が下がり、メンテナンスによるランニングコストを考えたトータルコストでコストダウンができます

テントは購入した後もお金や手間がかかる

テントを購入するときに、テントの購入代金だけで購入を決めていませんか?実はテントを良い状態に保つためには努力とお金が必要なのです。その努力とお金を惜しんでしまうと先に紹介したテントの諸問題が購入して間もないテントであっても起こります。

そのため、テントを購入するにはそれを大事にする覚悟も必要です。その覚悟ができない人は私どもプロのメンテナンスが行き渡ったテントのレンタルサービスを利用するのが良いでしょう。覚悟は持っているという方や、既に購入してしまったという人に、実際にテントのお手入れ方法を紹介していきます。

テントのお手入れの方法

お手入れとメンテナンスの概念を分けてみよう

私達がクリーニングサービスでやっている作業をみなさんにご紹介しても、家庭で同じことはできないと思います。これを紹介している私自身でもできません。なぜなら知識と技術があっても、ちゃんとした設備と場所が無ければプロのクリーニングが行えないからです。

では手も足も出ないのかと言えばそんなことは無くて、家でもできることと、家でできないことを分けてみようというのが私の提案です。そして、家でもできる事を「お手入れ」として、家でできない事を「メンテナンス」として実施してみませんかというのが今回のご提案です。

普段は無理なく「お手入れ」レベルの事をやるだけでもテントの状態は大きく違ってきます。そして、「お手入れ」だけでは防ぎきれない劣化を「メンテナンス」により修復させるというイメージです。「お手入れ」使用毎、「メンテナンス」は数年毎に行っていきましょう。具体的な方法を説明していきます。

使用毎に行うテントの「お手入れ」方法

テントが劣化する主原因は水分(湿気)と温度による化学的な劣化です。特に問題なのが水分です。テントが濡れたままたたんで家に持ち帰ってしまい、結局そのまま保管していたというパターンが多いです。

濡れたまま保管が最もNGです。しっかりと乾燥させてから保管しましょう。この時汚れも化学的な劣化を促進させます。気になる汚れがある場合は、拭き掃除をしてから、乾燥させ、保管することが重要です。

どうしてもテントを乾燥できなかった場合

とは言え、いつもキャンプ場で乾燥させてから持ち帰ることができるとは限らないし、地方にお住まいで無いければ家に持ち帰って乾燥させるといってもテントを干せる場所なんて無い!という人が多いと思います。だからと言って、放っておいて良いわけではありません。テントを乾燥させるサービスがありますので利用しましょう。

ここでポイントは私達が行っているテント乾燥サービスは、拭き掃除も込みでやるという点です。先ほど言ったように汚れがある状態でテントを乾燥させるだけでは不十分です。雨の日に車のボディが汚れるように、雨自体にも汚れが含まれていますし、雨の中で撤収する際に泥汚れが付着します。汚れを除去してから保管しないと汚れが起点となり劣化が促進していきます。しっかりと汚れを拭き取ってから乾燥させることで保管に適した状態にします。

保管場所にも気を配ろう

もう一つ家庭できることとして、テントの保管です。特に保管時の温度・湿度管理です。保管場所が高温多湿の場所ではせっかく充分に乾燥させたテントも徐々に湿気を吸い込み劣化していきます。

テント保管のポイントは風通しの良い場所もしくは空気の入れ替わりがある場所で保管することです。空気が澱んでいると湿気が溜まってしまい劣化が促進していきます。テントの保管場所にも気を配りましょう。

使用感が出てきた際に行うテントの「メンテナンス」方法

日頃のテントの「お手入れ」をすることだけでもかなりテントの良い状態を保つことができますが、それでもケアしきれない箇所や劣化が止められない箇所があります。ケアしきれない場所としてシームテープです劣化が止められない箇所として撥水機能があります

シームテープを点検しよう

テントの問題点の部分で説明したように生地の縫い目部分にシームテープというテープ処理がされています。そのシームテープを目視して、触ってみて、浮きや剥がれている部分が無いかを確認しましょう(テントの問題点③で紹介しているような状態を参考にしてください)。

もしシームテープに浮きや剥がれがあったらシームテープの張り直しです。シームテープは市販されているので家庭でも貼り付けることは可能ですが、プロと家庭レベルでは質が違います。家庭でシームテープを貼り付けられたとしてもそれは一時的でしかなく、私たちが行うシームテープ処理とは耐久性が違います。

広範囲に渡ってシームテープの浮きや剥がれがある場合は、私達プロの業者に依頼した方がコストは掛かりますがしっかりと処理できますので、結果としては良いものになると思います。

プロが使うシームテープ貼り付け機械

プロが使うシームテープ貼り付け機械

撥水性能を確認しよう

しばらく使っていると撥水性能、つまり水が弾かなくなってくると思います。水を弾く撥水性能は永続することができません。使用毎の「お手入れ」をしっかりすることで撥水性能も良い状態を長く保つことができるのですが、残念ながらそれでも使用すればわずかながらでも撥水性は低下していきます。

撥水性能を回復させる方法として防水スプレーを振るという方法が考えつきますが、私達プロはおすすめしません。私達の仕事が無くなるのでおすすめしないというわけではなく、防水スプレーは簡単に処理ができるけど、その分簡単に撥水成分が剥がれてしまいます。しかも撥水成分の性能も家庭レベルで低いです。また、スプレー缶1本ではテントのごく一部しかできず、全体に処理しようと思うと防水スプレーが何缶も必要になります。

私たちはアウトドアの撥水性能とその耐久性を日々研究しているアウトドア専門クリーニング&撥水加工サービス「ドロップルーフ」を展開していて、テントの撥水にも、その技術をそのままではありませんのでウェアで行っている撥水耐久性よりも少しだけ劣りますが、耐久撥水弾水コーティング技術を応用をしています。

撥水性能はどこの業者に出すかで大きく変わってしまいます。撥水性能が低下してしまったなと感じた場合は、研究開発をしていて技術力があり、かつ実績のある業者に依頼することをおすすめします。こればかりは自分でやるクオリティと私達がやっているクオリティは全然違う物になりますので、プロにお任せしましょう。

https://www.soranoshita.net/tent-cleaning/

テントのお手入れ・メンテナンス まとめ

如何でしたでしょうか?まずはテントのお手入れ・メンテナンスを怠った場合にテントに発生する問題点を解説し、その必要性が理解できたと思います。

また、次にどういうお手入れ・メンテナンスをしていけば良いか、ここでは日々の「お手入れ」と数年に一回行う「メンテナンス」を分けて考えましょうということを提案させて頂きました。またその具体的なお手入れ方法、メンテナンス方法も説明しました。

正しいテントのお手入れ・メンテナンス方法を知り、自分に合った方法でテントと長く付き合っていただければ幸いです。

トップへ戻る
タイトルとURLをコピーしました