ビーコンは、雪崩の可能性のある雪山では必ず装備しなくてはならない装備です。
そんな雪山の”三種の神器”のひとつにも数えられているビーコンの機能や使い方などを紹介していきます。
目次
ビーコンとは~機能~
ビーコンとは、『自分が雪崩に埋没してしまった場合に探してもらうため』また『埋没してしまった人を探すため』の装備です。
特別な操作の必要はなく、電源を入れて持ち歩くだけです。
ビーコンを携帯しているだけでも雪崩からの生還率は大幅に上がるそうです。
機種によって操作方法やアラート音が異なっているため、予め自分のビーコンがどういう物なのか知っておく必要があります。
ビーコンの種類
・アナログ式
アナログ式はアンテナが1本内蔵されたビーコンです。
受信感度はデジタルより良く広い範囲の電波を受信することが出来ます。
距離が近い方が電波は強くなる特性がありますが、あわせてアンテナから送られる電波には特定の波(曲線)があるため場合によっては電波の強い方向が複数検出されることもあります。
そのため、事前に電波の特性を理解し探索方法を習得する必要があります。
・デジタル式
デジタル式は、アンテナが1本~3本までと複数内蔵されています。このアンテナの本数が多いモデルが高性能機種とも言えます。
しかし、受信感度はアナログ式に劣ってしまいます。
モデルによりますが、50~70mほどの受信範囲があります。
複数あるアンテナから受信した電波をもとに計算して位置を特定するため、慣れない人も比較的簡単に見つけることが出来ます。
ビーコンの使い方
万が一、雪崩に遭遇した際は雪崩に呑まれた人を探すためにビーコンを使います。
雪崩に埋没してから15分以上経過してしまうと生存率が急激に低下してしまうようですが、
埋没者が呼吸空間を確保出来たかによって変化します。
・2度目の雪崩が発生しないとも限らないので雪崩に注意しつつビーコンを発信モードから受信モードへ切り替えます。
ビーコンによっては、自動に一定時間で発信モードと受信モードを切り替える機能が搭載されている物もあります。
・雪崩の再発に備えて一人見張りを残してビーコンで捜索します。
見張り役は周囲を警戒しつつ救助の要請ができるか確認すると良いでしょう。
万が一雪崩が発生したら、大声で呼びかけたりホイッスルがあれば鳴らして知らせましょう。
・ビーコンで大まかな位置が判明したらプローブ(ゾンデ棒)で場所を特定する。
プローブ(ゾンデ棒)と呼ばれるアルミ製のパイプを突き刺して埋没者を特定します。
特定ができたらプローブ(ゾンデ棒)は抜かずに残しその周辺をスコップで掘っていきます。
・埋没者の顔が出ても口や鼻に雪が詰まり呼吸ができない可能性もあるので気道確保を最優先にする。
あわせて、雪崩に巻き込まれた際に木や岩にぶつかっている恐れもあるので大きな怪我が無いかも確認しましょう。
・できるだけ温かく保温する。出血がひどい場合は止血も。
体温が急激に低下してしまうので脇の下やみぞおち首の後ろなどカイロなど使って保温しましょう。
出血がひどい場合は止血を施し、カイロなどで温めず毛布などで保温しましょう。
ビーコンの特性
ビーコンには機種ごとに受信感度の違いがあるため、最初の電波を補足するのに時間が掛かる場合があります。
機種ごとに改善されてきていますが、「見つからない」、「ビーコンが故障しているかも」と判断を急がず確実にサーチする必要があります。
ということで・・・・
\実際に別々のメーカーのビーコンを使って実験してみました/
ortovoxの『3+/ビーコン』を送信に設定しMAMMUTの『Barryvox』で受信するという実験です。
●実験方法は・・・
10メートル程離れた平坦な場所に送信モードに設定した『3+/ビーコン』を置き、『Barryvox』を送信モードから受信モードへ切り替えてみました。
すると最初の電波を補足するまでに数秒ほど掛かりました。その後は『3+/ビーコン』までスムーズに、正確に導いてくれました。
『3+/ビーコン』同士で同じ実験をしてみましたが、あっという間に送信モードの『3+/ビーコン』の位置を表示してくれました。
ortovoxの『ZOOM+/ビーコン』も同じメーカーの為かスムーズに『3+/ビーコン』を補足することが出来ました。
今回は、平坦な場所で実験しましたが実際に雪山などで埋没者の電波を補足するにはさらに時間がかかると考えられます。
さらに、携帯電話やデジカメ(Wi-Fi・Bluetoothの搭載された)などを持ったままで捜索をすると電波が混線し、埋没者を見つけ辛くなってしまう事があるようです。
実験中に、パソコンが複数台稼働している部屋の中からビーコンを受信モードにしたところ補足してからビーコンの正しい方角が表示されるまでに時間が掛かりました。
ビーコン まとめ
雪山登山では雪山用品の使い方を習得する必要と実際に使用した経験が必要です。
特にビーコンを使う際は登山前に必ず、機種の確認や使い方をしっかり習得しておく必要があります。
使用してみた感想ですが、『Barryvox』は画面のデザインが分かり易く初めてビーコンに触れる人にも優しい造りになっているように感じました。
『3+/ビーコン』や『ZOOM+/ビーコン』は使い方を覚えれば、とてもシンプルな造りになっているためとても使いやすく有事の際には手間取らず操作できる造りになっています。
ビーコンの特性から、一緒に登山する仲間と同じメーカー・同じモデルを持って登山することで生還率を上げることができます。
また、雪崩の起きそうな場所に立ち入らない事や雪崩の発生しやすい気象条件を知ることで予め雪崩の危険から回避することが出来ます。
雪崩は速い場合、時速200㎞にも加速し雪が音を吸収してしまうため発見が遅れる場合もあります。
雪山登山に挑戦する際は、ビーコンの使い方以外に予め山岳ガイドの実地講習を受けるなど雪崩対策をされることをお勧めします。