雪山をやりたい!って思ったときに誰もが思う疑問
「冬用のハードシェルって高いな!でも、そもそも冬用ハードシェルジャケットじゃないとダメだんだろうか?レインウェアと何が違うの?」
レインウェアだったら夏山やってる人なら持ってるし、それを雪山登山に流用してはいけないのか?
わざわざ改めて冬用ハードシェルを購入しなければならないのか?
そもそも同じゴアテックスを使っているのに何が違うの?
と、そんな雪山あるあるに答えます。
ハードシェルのよくある間違い
よくハードシェルじゃないと防寒性が無いからダメだと言っている人がいます。
誤解を恐れず言うと、「防寒性はハードシェルじゃなくても良いはず」と考えます。
防寒性で最も重要なのは断熱層となる空気層をいかにして確保するかということです。
ハードシェルが形成する空気層はレインウェアと比較して、確かに優位ではありますが、とてもずば抜けているとは思えません。裏地に起毛しているハードシェルを選んだとしても起毛で形成される空気層は僅かです。それよりはインナーにどういうものを着るかで形成される空気層の方が支配的です。レインウェアでも、インナーを適切に着ていくことで防寒性を保つことはできます。
ということで、防寒の観点で言えば雪山だからと言ってハードシェルである必要はないという事になります。ここまではあくまでハードシェル自身の空気層に対しての話なので、最後まで読んでくださいね。
ハードシェルの役割に関して考えてみよう
では、ハードシェルの役割はなんでしょうか?
雪山に行って、最も過酷な状況は稜線に居る時です。
この時に襲ってくるのが・・・雪の混ざった暴風です。
その暴風に対して身を守るためにつくられているのがハードシェルです。
具体的には、レインウェアに比べてより細部の風を防ぐように作られています。その点はレインウェアはそこまでシビアに作られていない点があります。
レインウェアに対して、より防風性を高めたハードシェルは雪山の稜線で身を守る装備といってよいでしょう。
ハードでなければならない理由
でも、ただの防風性の違いだけか。と思ったあなた。
それだけではもっとふにゃふにゃなハードシェルでも良いはずですよね。
実際ハードシェルって着にくいし、ウェアとしては硬いのでなんだか肩がこるというか、やっぱりレインウェアと比べて動きづらいです。
でも実際のハードシェルは名前のごとく「硬い」ウェアです。
この硬さ!さすがに意味なく硬くしている訳じゃないです。
雪山をやっているとアイゼン、ピッケル、わかん等、ガチャものと呼ばれる金属物を持って行く必要があります。
中でもアイゼンやピッケルは氷に食い込むように作られているので、「歯」がありますよね。
その「歯」から身を守るために「ハード」なんです。
どんなに気をつけて歩いていてもガチャものに当たることはあります。
そんな時にもし貧弱なレインウェアだとすぐに破れてしまいますね。
雪山では暴風の状況下でウェアに穴が開くことは致命的です。命にかかわる問題になります。それを守るためにハードシェルなんです。
ガッツリ引っ掛けてしまえばさすがのハードシェルでも穴が開きますが・・・そこは歩行練習などで引っ掛けないようにして下さいね。
ハードシェル まとめとして
以上のハードシェルまとめとして、稜線に出ないような雪上ハイキングを楽しむのであれば、ハードシェルである必要はないでしょう。それよりもインナーの防寒をしっかりさせるかもしくは防寒性の高いスノーウェアを持っていったほうが良いです。
稜線に出る雪山に行くのであればやっぱりハードシェルが必要でしょう。
最近では素材自体新しいものが開発されてきて例えばゴアテックス社であれば新素材のGORE C-KNIT Backerという素材がめちゃくちゃ柔らかい素材になるんですが、これをハードシェルにも適用して、硬さや着にくさを大幅改善しているウェアもあります。ただし、硬さを改善して切れ・破れ・摩耗に弱かったら本末転倒です。各社ギリギリのところでレインウェアとハードシェルの差別化を図っています。