目次
麓からの富士山登山①【富士登山と木々】
~花粉が終われば、フィトンチット天国へ!~
『あなたは何に心を癒されますか?』
この質問を受けた日本人の多くが『森や林の緑に!』と答えたというデータがあります。
まさしく森や林は人々の心身を癒すのに大きな効果をもたらしてくれます。
ただ、近年は「花粉症」という厄介な存在のために敬遠される時期もあるようです。
ここ富士山でも山麓はスギやヒノキの植林を進めていた時代があったために、花粉は心ならずも厄介者となっています。
しかしご安心ください。
GW前後でヒノキの花粉が収まれば、あとは「風薫る5月」から6月へ。フィトンチット天国がやってきます。フィトンチットとは若葉が病原菌や虫から自分を守るために放出するもので、抜群の殺菌力があります。実はこの殺菌力が私たち人間には免疫力を高め、病気の予防や治療に役立ってくれるのです。もちろん心身を癒してもくれます。
さあ、あなたもフィトンチット天国へ来ませんか?
都会より季節の遅い富士山は、山麓の5月、6月がフィトンチットの季節です。
ただし、富士山では5合目の森林限界より上では、この効果は期待できません。
そらのしたでは、このフィトンチット天国での様々なツアーを5月、6月に開催しています。
それが「2014プレ富士登山の各ツアー」です。まる一日フィトンチット漬けを満喫しながら、登山の基本と楽しさをマスターしていただきます。
これこそ、麓から5合目までの富士山登山の魅力です!
是非お越しください。
ああ、
「風薫る……」と言いますが、気象現象である風には本来香りはありません。
ところがこの時期に限って、フィトンチットなどに様々な芳香物質が含まれているために、
それが発散されて風に運ばれる。それで、『風薫る5月』という言葉が生まれたのでは?
私は、勝手にそう考えて楽しんでいます。
麓から富士山登山②【富士登山と野鳥】
~森の野鳥天国へ!観察に保険あり!!~
『森の野鳥観察会って、ほとんど鳥が見えませんよね、だから何とかして下さい!』
☆こんなご要望が、提携ペンションのオーナーから有りました。
しかも世界文化遺産の吉田口登山道をハイキングしなら、という贅沢なご注文です。
☆富士北麓は日本の三大野鳥天国と言われていますが、それでも森の中で野鳥を観察する
のは至難の業です。ハイキングも兼ねるとなると、鳥たちは気軽に人間を見下ろしてい
るかもしれませんが、人間達の方はそうはいきません。
ズバリ、野鳥観察はテレビ向きではなく、ラジオ向きなんです。鳥たちの声なら比較的
聴けるんですね。それも食事の時間なら、なおさら。
そこで、
そらのしたでは、「保険付き!野鳥観察ハイキング」という企画をペンションのオーナー
にご提案しようと思っています。
☆例えば、こんなエピソードは楽しく(悲しく?)ありませんか?
『誰もが知っているウグイスとホトトギスの鳴き声。
○ウグイスは ホ~ホケキョ!(6月) ホ~ケキョケキョ!(鳴き始めの5月)
○ホトトギスは ホト、トギス!(6月) ホト、トギスダゾ!(鳴き始めの5月)
※すいません。こう聴こえるのは私だけかもしれません。
微妙な抑揚はついていますが、5月の頼りなく可愛い鳴き声から、6月の大人びた逞し
い鳴き声への移行を楽しむのが、私の毎年恒例の行事です。
この2種類の鳥たちは、訳あって、ほとんど一緒の時期に鳴きます。
そして、「ホト、トギス!」と「ホ~ホケキョ!」を一緒に聴くと、
「いや、世の中は今年もきちんと不公平に出来ているな」と思わずにはいられません。
なぜだと思いますか?
答えは「托卵」です。つまり、ホトトギスはウグイスの巣に卵をこっそり生んで、あと
はウグイスにすべてお任せ。ひなから成鳥になるまで育ててもらいます。
どうですか、一緒の時期に鳴くって? 楽しい、ではなく悲しいでしょ』
☆こんな話を聞いていただきながら、吉田口登山道を耳と目を全開にしながらハイキング。
おまけは、途中で寄り道する、今年開館の富士山環境科学研究所の水場。ここなら森の
鳥たちに会える可能性が飛躍的にアップします。
☆さあ、あなたも、『 由緒正しく! 麓からの富士登山② 』 ~野鳥観察に保険あり!~
ハイキングに参加しませんか?
山中湖のペンション カントリーダイアリーのオーナーと企画中です。
麓から富士山登山③【富士登山と動物】
~動物たちのこともお話しますね!~
質問です!
『麓から5合目までに、一番たくさんいる動物は何でしょうか?』
こう聞かれると、そりゃあ「人間さ!」と答える訳知りさんがいます。中にはガイドさんでさえ面白そうにこう説明する人もいます。
正解は、
『ネズミです!』
☆そのほとんどが小さくて可愛いヒメネズミです。隊長は10センチほど。体重も
10グラムほどでしょう。吉田口の登山道は溶岩流の上にできた森がほとんどで、
ヒメネズミたちが隠れるのに好都合な小さな起伏が無数にあります。
そこに隠れてひっそりと、でもしたたかに多数派として暮らしているのですね。
※私的な意見ですが、彼らほどアップに耐えられる写真の対象は、鳥や動物の中でも
数少ないと思います。「ひめねずみのチョロ」なんていう絵本だって出ていますよ。
☆では、私たち人間が吉田口の登山道を麓から登っていて、
『一番目にする確率が高いのはこのヒメネズミでしょうか?』
残念ながら、答えは「鹿」です。
近年急激に増殖し、しかも人や自動車をあまり恐れてくれません。なんと言うか、しか
として出てくるんです。朝夕に登場することが多いのですが、人前はもちろん、車の前
にも飛び出してきます。その飛び出し方は猫に似ていて、一度飛び出すと戻るというこ
とをしません。ドライバーが避けそこねて事故に! などという悲劇が急増しています。
※実害としては、なんと熊や猪より怖い存在になろうとしています。
☆「もし飛び出してきたら、ハンドルを切らずにそのまま! 仕方がないんだぞ!」
そう自分に言い聞かせていましたが、あの大きくて優しい存在が実際に飛び出してきた
時に、私も思わずハンドルを切って、溶岩流の岩場に飛び込んでしまいました。
そらのしたのツアーで登山道を歩いていると「ヒメネズミの食痕(クルミなどをリスと
違った食べ方をします)」や「鹿のフン」に出会いますが、その時にはこんな話もさせ
ていいただいています。
ありのままの富士山をお話しています。
麓から富士山登山④【一合目から富士登山】
なぜ富士山を、わざわざ麓から登るのですか?
☆この質問に絶対的な答えはないと思います。
富士山にある4本の登山道はいずれも車で5合目まで行け、自分の足で登るのはそこか
らという登山者がほとんどです。
それでも頂上までの往復は10時間の道のりです。それを山小屋に泊まって1泊2日の
行程で行くのが一般的です。
☆そして今回の本題です。
麓から登るとなるとザッとその倍の道のり。登ってみました、五合目まで。
吉田口の登山道で言えば「北口本宮冨士浅間神社」の奥にある「登山鳥居」をスタートします。
いわゆる「草山」と呼ばれる部分が馬返しまで続きます。まあ、自然歩道のノリです。
私の場合、富士山を信仰しているわけではないので、ただ「先は長いな……」
とつぶやきながら5合目を目指しました。
ジェントリーな(ゆるやかな?)上りをゆっくりと歩きながら中の茶屋を通過。やや退屈なのでWポールの練習などしながら、時おりウグイスやルリビタキ、ガラ一族(コガ、ヒガラ、シジュウカラなど)の声を聞くふりをして休憩。
大石茶屋からはコースが単調になるのでペースを上げて馬返しへ。
☆「あれ!? グラデーションだ」
そう思ったのは、馬返しの鳥居近くにいる2匹の猿(石像)の頭を撫ぜてから、徐々に
きつくなっていく上り坂を5分ほど登った頃です。
木々が欝蒼としてきて、だんだん迫ってくるような。
「草山」が人が住む俗界なら、「木山」は少し神聖なエリア。馬は返され、「焼山」へと心の準備を整えていきます。ちなみに5合目より上の「焼山」は草木のない死の世界。
人はこのエリアで一度死んで生まれ変わる、とされていました。おもに江戸の昔は。
「昔の話だよなあ」と思いながらジェントリーでなくなった4合目付近を登っている時、
☆「やっぱり!? グラデーションだ」と確信しました。
景色と一緒に少しずつ気分が変わっていくんです。「草山」の気分から「木山」の気分へと。きっと五合目を過ぎれば「焼山」の気分に変わるんだ、そんな確信です。
これって、景観光学的に実に上手く出来てます。
信仰もなくただ登っているだけなのに気持ちが変化するんです、少しずつ。
徐々に変わっていく心身のグラデーション。やがて、それが楽しくなってきました。
これ、麓から登らないと気がつきませんよ。
麓から富士山登山⑤・甲州弁編
~山梨県民の一番好きな甲州弁は?~
『 いいさよう! 』
☆『いいさよう!』
口に出して言ってみてください。
「いいさよう!」って。
山梨県民に対して行われたある調査で、山梨県民が一番好きな甲州弁が、
この「いいさよう」です。
意味としては、やや広範囲です。
1、どういたしまして!
2、気にしないで!
3、気持ちだから!
4、どうってことないから!
5、etc
☆この「いいさよう」は、
「わありいじゃん」という言葉と対になって使われることが多いんです。
何かをしてもらった方(気持ちのみも含む)が、「わありいじゃん」で、それに対する応
えが「いいさよう」という訳です。
山梨県民が日常ごく自然に行っている会話の一部ですが、私は好きです。
何か、いい加減で、あんまり中身のない、いうなれば挨拶みたいな不思議な言葉です。
半分は無意識な言葉なんです。
「いいさよう」の精神
はっきり言って、それほど本気になって使っている人は少ないと思います。
でも、
☆山(登山)ではこの精神ほど素晴らしいものはないと思います。
誰もが少し疲れ、先を急ぐ午後の山道で、登りと下りがすれ違う時。
下りのあなたが、軽く道を譲ります。それはほぼ無意識です。
その時相手が山梨県民なら、「わありいじゃん」です。
あなたはすかさず、
「いいさよう!」ですよね。
あの有名な「お・も・て・な・し」も素敵な日本語ですが、
負けていませんよね、
「いいさよう!」も。
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